矯正治療中や治療後、口腔内の筋肉や機能が正しく働いていていないと、歯並びや噛み合わせの改善が難しかったり、治療後の後戻りのリスクが高くなります。
そこで注目されるのが「口腔筋機能療法(MFT)」です。
「口腔筋機能療法(MFT)」とは、舌や頬、唇などの筋肉を正しく使えるようになるためのトレーニングです。
これにより、歯並びや咬み合わせが整いやすくなります。
ここでは、MFTが矯正歯科治療にどのように役立つかについて説明していきます。
1. MFTとは?
MFT(口腔筋機能療法)は、舌や唇、頬など、お口の周りの筋肉を鍛え、正しい位置や動きを習得することで、歯並びや噛み合わせ、発音、呼吸など、口腔機能全体の改善を目指すトレーニングです。MFTは、主に以下のような目的で行われます。
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舌の位置の改善
舌は歯並びに大きな影響を与える筋肉のひとつです。
舌の筋力が弱いと舌のポジションが悪くなり歯並びに影響を与えることがあります。
MFTでは、舌を正しい位置に持っていくことを意識的にトレーニングします。
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口呼吸の改善
口呼吸が習慣化すると、唇が閉じにくくなり、舌の位置も安定しなくなります。
これが原因で歯並びや顎に影響が出ることがあります。
MFTでは、鼻呼吸を促すトレーニングが行われ、口呼吸を減らすことができます。
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筋肉のバランスを整える
口腔内の筋肉の使い方が不適切だと、歯並びに悪影響を与えたり、矯正治療の効果が薄れたりします。
MFTでは、唇や頬の筋肉も含めて、口腔内の筋肉の使い方を正しくすることを目指します。
MFTは、このような筋肉の問題を改善するトレーニングです。
2. 矯正治療におけるMFTの役割
矯正治療は、歯や顎の位置を物理的に動かすことが主な目的ですが、口腔内の筋肉の働きが正しくないと、矯正治療の効果を最大限に引き出すことが難しくなります。
MFTを行うことで、以下のような影響があります。
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歯並びの安定性向上
矯正治療後、歯が元の位置に戻ってしまう「後戻り」のリスクがあります。
しかし、MFTを取り入れることで、筋肉が正常に機能するようになるため、歯が適切な位置に固定されやすくなり、後戻りを防ぐことができます。
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治療期間の短縮
MFTによって口腔内の筋肉のバランスが整うと、矯正器具による力がより効率的に働きます。
これにより、治療の進行がスムーズになり、結果的に治療期間が短縮されることが期待できます。
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発音や呼吸の改善
口腔筋機能の改善により、発音や呼吸が改善されることがあります。
例えば、口呼吸をしていた場合、MFTを通じて鼻呼吸を促進し、全体的な健康状態を向上させることができます。
3. MFTの適用時期と効果的なタイミング
MFTは、矯正治療の前、治療中、そして治療後のいずれの段階でも有効です。
特に、矯正治療前にMFTを行うことで、歯並びが悪化する原因となっている筋機能の問題を早期に解決でき、治療がスムーズに進む可能性があります。
治療後の維持段階でもMFTは有効であり、治療後の歯並びが安定し、後戻りを防ぐことができます。
まとめ
口腔筋機能療法(MFT)は、矯正歯科治療をサポートし、歯並びを改善するだけでなく、治療の効果を高めたり、治療後の歯並びを維持しやすくしたりします。
MFTを取り入れることで、矯正治療がより早く、より効果的に進むため、歯並びを整えたい人にはとても有益な方法です。
歯並びを長期間維持したい方にも、おすすめのトレーニングです。