矯正治療を始めようと考えたときに、多くの方がまず気になるのが「どのくらいの期間で終わるのか?」ということではないでしょうか。
実は、矯正治療の期間はお口の状態や治療方法によって大きく変わります。
今回は、一般的な期間の目安と、外科手術(オペ)が必要なケースの治療期間を含めてご説明します。
■ 矯正治療の基本的な期間の目安
矯正治療は大きく分けて「歯を動かす期間」と「保定期間(維持しておくための期間)」の2段階に分かれます。
● 歯を動かす期間
歯並びを整えるためにブラケットやマウスピースを使って歯を動かしていく期間です。
一般的には 1年半~3年ほど が目安とされていますが、症例によって3年以上かかることもあります。
たとえば…
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小児矯正→ 約1年半~2年
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全体的なかみ合わせの改善 → 約2年半〜3年
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骨格のズレをともなう外科矯正 → 約3〜4年
といったように、治療内容によって大きく異なります。
● 保定期間(ほていきかん)
歯を動かしたあとは、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐため、保定装置(リテーナー)を使用して歯の位置を安定させます。
この期間は2年程度 が目安ですが、歯を動かした期間とほぼ同じくらいと考えると良いでしょう。
■ 治療方法による期間の違い
矯正治療には「ワイヤー矯正」「マウスピース型矯正(インビザラインなど)」、そして「外科矯正(オペを併用する矯正)」など、いくつかの方法があります。
● ワイヤー矯正の場合
歯にブラケットを装着し、ワイヤーで少しずつ歯を動かしていく方法です。
複雑な歯並びの改善に対応でき、治療期間は 約2年半〜3年 が一般的です。

● マウスピース型矯正の場合
透明なマウスピースを段階的に交換して歯を動かす方法で、見た目の自然さが特徴です。
軽度〜中等度の歯列不正であれば 1年半〜2年程度 で完了することもありますが、歯の動き方には個人差があります。
2年半~3年程度が目安かと思います。
1日20時間以上の装着が必要なため、装着時間が不足すると治療が延びてしまいます。
また、歯並びの程度によってはワイヤー矯正を組み合わせることもあるため、治療期間が延びることもあります。

● 外科矯正(オペケースの場合)
あごの骨格のずれが大きい場合には、矯正治療単独では正しいかみ合わせにできないことがあります。
このような場合、あごの位置を整えるために「外科手術(オペ)」をすることがあります。
外科矯正の流れは次のようになります:
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手術前矯正(約2年)
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手術・入院(1〜2週間程度)
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手術後矯正(約1年~2年)
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保定期間(約2年)

全体でみると 約3〜4年ほど が目安になります。
あごの位置をしっかり整えることで、見た目のバランスとかみ合わせの両方を改善できるのが大きなメリットです。
■ 治療期間を左右する主な要素
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歯並び・かみ合わせの状態
歯のねじれやズレの程度、抜歯の有無、骨格のズレの有無によって期間が変わります。
骨格に問題がある場合は外科矯正となり、通常より長い治療期間が必要です。
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年齢
矯正治療は年齢に関係なく可能ですが、成長期のお子さんは骨や歯が動きやすいため、比較的短期間で治療が進みます。
一方で成人の場合は骨が固いため、やや時間がかかる傾向があります。
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装置の種類と使用状況
マウスピース矯正では、装着時間が短いとその分治療が遅れてしまいます。
また、ワイヤー矯正でも装置が壊れたり、通院が遅れたりすると期間が延びることがあります。
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患者さんの協力度
矯正治療は「歯科医院と患者さんが一緒に進める治療」です。
装置の使用ルールや通院ペースを守ることが、治療をスムーズに進めるポイントです。
■ 期間を短くするためにできること
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定期的に通院する
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指示通りに装置を使用する
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装置を壊さないように食事・生活に気をつける
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毎日の歯みがきを丁寧に行う
これらを守ることで、治療が予定どおり、またはそれより早く終わる可能性があります。

■ まとめ
矯正治療の期間は、歯並びの状態や治療法によって異なりますが、一般的には 「歯を動かすのに1年半〜3年、保定に1〜2年」 が目安です。
外科矯正が必要なケースでは、 全体で3〜4年程度 かかることが多いです。
長く感じるかもしれませんが、矯正治療は一生ものの「きれいな歯並び」と「健康なかみ合わせ」をつくる大切な時間です。
治療をスムーズに進めるためには、患者さんのご協力も欠かせません。
流れや期間を理解しながら、自分のペースで前向きに取り組んでいけるといいですね。