歯並びを整える矯正治療には、従来のワイヤー矯正のほかに、「マウスピース型矯正装置」という選択肢があります。
今回は、マウスピース型矯正装置の特徴を説明していきます。
マウスピース型矯正装置とは?
マウスピース型矯正装置は、透明なマウスピースを一定期間ごとに交換しながら、歯を徐々に理想の位置へ動かしていく矯正治療です。
当院では「インビザライン」「シュアスマイル」「エンジェルアライナー」というマウスピースの種類を取り扱っています。

メリット
1. 見た目が自然で目立ちにくい
マウスピースは透明な素材で作られているため、装着していても目立ちにくく、矯正中であることを気づかれにくいのが大きな魅力です。
仕事上、人前に出ることが多い方や、見た目に配慮したい方にとっては大きなメリットです。
2. 取り外しが可能で衛生的
食事や歯みがきの際には簡単に取り外すことができるため、口腔内を清潔に保ちやすくなります。
ワイヤー矯正のように食べ物が詰まったり、磨き残しが出たりするリスクが少ないのも嬉しいポイントです。
3. 痛みや違和感が少ない
金属のワイヤーやブラケットを使わないため、口内炎や装置による傷の心配が少なく、痛みも比較的軽減される傾向があります。
また、計画的に緩やかに歯を動かすため、急激な違和感を感じにくいという人も多いです。
4. 通院回数が少なくて済む
基本的にマウスピースは1週間から10日ごとに自宅で交換していくスタイルが一般的で、通院は約2ヶ月に一度程度。
忙しい社会人や学生でもスケジュールを合わせやすく、負担を減らせます。
また、当院ではデンタルモニタリングというツールを利用し、週に一度患者さんのマウスピースの使用状況を確認しています。
マウスピースの使用感やフィット感の維持など問題ない場合には通院期間をさらに伸ばすことも可能です。
デメリット
1. 自己管理が求められる
取り外しが可能という点はメリットでもありますが、逆に「装着時間を守らないと効果が出ない」という大きなデメリットにもなり得ます。
1日20時間以上の装着が推奨されており、それを怠ると治療期間が延びたり、思うように歯が動かないことがあります。
また、マウスピースは透明なため、紛失しないよう自己管理が必要になってきます。
特に、取扱不良によるマウスピースの変形や破損、学校や出先での紛失がお子様に多くみられます。
そのため、保護者様の管理のもと、スムーズに治療が進められるようご協力をお願いしています。
2. 適応できない症例がある
重度の不正咬合(出っ歯、受け口、開咬など)や、オペが必要なケースなどでは、マウスピース型矯正装置では対応が難しい場合もあります。
そのような場合には、ワイヤー矯正や外科的な処置が必要になることもあるため、事前の診断が非常に重要です。
3. 飲食時の不便さ
マウスピースを装着したままの飲食は基本的にできません。
飲食のたびに外し、終わったら歯みがきをしてから再装着する必要があります。
外食が多い人や間食の多い人にとっては、少し面倒に感じるかもしれません。
しかし、使用時間が一番大切ですので、食事には工夫が必要です。
また、徐々に歯を動かしていくことで、咬んだ時にアタッチメント(歯を動かす抵抗源)が干渉して咬みづらくなることがあります。
歯列が改善していくと、咬みづらさも改善していきます。
まとめ|自分に合った矯正方法を選ぼう
マウスピース型矯正装置は、その見た目の自然さや快適さ、通院のしやすさなど、多くの魅力を持っています。
一方で、自己管理能力や症例の制限など、注意すべき点もあります。
最も大切なのは、自分の歯並びの状態やライフスタイルに合った治療方法を選ぶことです。
矯正を検討する際は、歯科医師にしっかりと相談し、十分な説明を受けたうえで判断しましょう。