
※本記事では、矯正歯科で一般的に行われている考え方や情報もあわせてご紹介しています。
実際に適応となる治療方法、治療期間、通院回数、治療の進め方などは、患者さま一人ひとりの歯並びや噛み合わせ、骨格、口腔内の状態によって異なります。当院では初回相談および精密検査後に個別にご説明しています。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。
横顔を見たときに気になる「口元」の違和感
鏡や写真で自分の横顔を見たときに、
「口元が前に出ている気がする」
「正面では気にならないのに、横から見ると印象が違う」
と感じたことはありませんか。
近年はスマートフォンで写真や動画を撮影する機会が増え、これまで意識していなかった横顔の印象に気づく方が多くなっています。その中で「マウスピース矯正で横顔も変わるのだろうか」「Eラインは整うのだろうか」と疑問を持つ方も少なくありません。
マウスピース矯正は歯並びを整える治療ですが、歯の位置が変化することで、口元の印象や横顔の見え方に影響が出ることがあります。ただし、その変化の大きさや現れ方には個人差があり、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。
この記事では、マウスピース矯正が横顔やEラインにどのように関係するのか、期待できる変化と注意点を整理しながら解説します。

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横顔の印象を左右する「Eライン」とは
横顔のバランスを考える際によく用いられる指標のひとつが、Eライン(エステティックライン)です。
Eラインとは、鼻先と顎先を結んだラインのことで、このラインに対して上下の唇がどの位置にあるかを目安として横顔の印象を評価します。
一般的には、上下の唇がEライン上、もしくはやや内側に位置している状態が一つの目安とされます。ただし、Eラインはあくまで参考指標であり、鼻の高さ、顎の形、骨格のバランスによって「理想」と感じられる位置は異なります。
特に日本人を含む東アジア人は、欧米人と比べて鼻の高さや顎の形に特徴があるため、国際的な基準をそのまま当てはめることはできません。そのため、Eラインだけを絶対的な基準として捉えるのではなく、顔全体のバランスの中で評価することが重要です。
Eラインは「絶対的な基準」ではないという考え方

Eラインは横顔の印象を考えるうえで分かりやすい指標のひとつですが、医療現場ではEラインだけで横顔の良し悪しを判断することはありません。なぜなら、横顔の印象は鼻や顎の形、唇の厚み、筋肉の緊張状態など、複数の要素が重なり合って決まるためです。
例えば、Eライン上に唇が位置していても、口を閉じる際に強く力が入っている場合や、顎先に緊張が出ている場合には、横顔が不自然に見えることがあります。逆に、Eラインから多少前後していても、口元が自然に閉じられ、表情が柔らかい場合には、違和感を感じにくいこともあります。
矯正治療では、「Eラインを整える」こと自体を目的にするのではなく、歯並びや噛み合わせを整えた結果として、口元の緊張が減り、横顔の印象が自然に変化するかどうかを重視します。そのため、Eラインはあくまで参考指標のひとつであり、治療のゴールを決めるための唯一の基準ではありません。
横顔の印象を正しく理解するためには、Eラインだけにとらわれず、「なぜ今そう見えているのか」「歯並び・噛み合わせ・筋肉の使い方のどこが影響しているのか」を総合的に考えることが大切です。
マウスピース矯正で横顔が変わる仕組み
マウスピース矯正は、歯を少しずつ計画的に動かす治療です。特に前歯の位置や傾きが変わると、唇を内側から支える力が変化し、結果として口元や横顔の印象に影響が出ることがあります。
たとえば、
・前歯が前方に傾いていた場合、歯列が内側に整うことで口元の突出感が和らぐ
・歯並びのガタつきが改善され、唇のラインがなだらかに見える
・噛み合わせが整い、口周りの筋肉の緊張が減る
といった変化がみられることがあります。
一方で、上顎や下顎の位置といった骨格的な要素が横顔の印象に大きく関与している場合、歯の移動だけでは変化が限定的になることもあります。そのため、「横顔が変わるかどうか」は歯並びだけでなく、骨格や噛み合わせ全体を含めて判断する必要があります。
横顔の印象と「噛み合わせ・口周りの筋肉」の関係

横顔の印象は、歯並びや骨格だけで決まるものではありません。
実は、噛み合わせと口周りの筋肉の使い方も、横顔の見え方に大きく関係しています。
噛み合わせが乱れている場合、無意識のうちに口元や顎周りの筋肉に余分な力が入っていることがあります。たとえば、上下の歯が適切に噛み合っていないと、口を閉じる際に力が必要になり、口輪筋や顎先の筋肉が常に緊張した状態になりやすくなります。
このような状態が続くと、
・口元が前に突き出て見える
・唇が閉じにくく、力んだ印象になる
・横顔が硬く見える
といった印象につながることがあります。
マウスピース矯正によって噛み合わせが整うと、歯を噛み合わせる位置が安定し、口周りの筋肉を過度に使わなくても自然に口を閉じやすくなる場合があります。その結果、口元の緊張がやわらぎ、横顔の印象が穏やかに見えることがあります。
ただし、これは必ず起こる変化ではありません。筋肉の使い方や癖には個人差があり、長年の習慣が影響している場合もあります。そのため、歯並びが整ったからといって、必ずしも筋肉の使い方が大きく変わるとは限らない点は理解しておく必要があります。
横顔の印象は、歯並び・噛み合わせ・筋肉のバランスが重なり合って形成されるものです。マウスピース矯正は、その一部に働きかける治療である、という位置づけで考えることが大切です。
横顔の変化を期待しすぎてしまうケース
マウスピース矯正の症例写真やSNSの投稿を見て、「自分も同じように変わるのでは」と期待が高まる方もいます。しかし、横顔の変化には限界があり、過度な期待は治療後のギャップにつながることがあります。
特に、
・骨格性の上顎前突や下顎後退が強い場合
・顎の位置そのものが横顔の印象に大きく影響している場合
・歯の移動量が限られる症例
では、歯並びが整っても「劇的に横顔が変わった」と感じるほどの変化が出にくいことがあります。
また、写真や動画は撮影角度や表情、光の当たり方によって印象が大きく変わります。そのため、治療後に「思っていたほど変わっていない」と感じる理由の多くは、治療の失敗ではなく、期待値とのズレによるものです。
マウスピース矯正が横顔の改善に向いていない場合

マウスピース矯正は多くの症例に対応できますが、すべての横顔の悩みに適しているわけではありません。
たとえば、
・顎の前後的なズレが大きい骨格性の問題
・顎の大きさや位置が主な原因となっているケース
・歯の移動だけでは唇や顎の位置関係に限界がある場合
では、マウスピース矯正単独で横顔の印象を大きく変えることが難しいこともあります。
このような場合、ワイヤー矯正や補助的な装置、場合によっては外科的な治療を含めた総合的な判断が必要になることもあります。重要なのは、「マウスピース矯正ができるかどうか」ではなく、「横顔の悩みに対して適切な選択肢かどうか」を見極めることです。
治療前に知っておきたい「横顔に関する注意点」
マウスピース矯正を検討する際、横顔の変化について事前に理解しておきたい注意点があります。これらを知っておくことで、治療後の「思っていたのと違った」というギャップを減らしやすくなります。
まず知っておきたいのは、横顔の印象は写真の撮られ方によって大きく変わるという点です。スマートフォンのカメラはレンズの特性上、近距離で撮影すると口元が強調されやすく、実際以上に突出して見えることがあります。そのため、治療前後の写真を比較する際は、撮影条件が揃っていないと正確な変化を判断しにくくなります。
また、治療の途中段階で横顔の印象が一時的に変わることもあります。歯の移動は段階的に進むため、前歯の位置が動き始めた時期に「少し違和感がある」「一時的に口元が気になる」と感じる方もいます。これは必ずしも治療がうまくいっていないサインではなく、歯が動いている過程で起こる一時的な変化であることも少なくありません。
さらに、SNSや広告で見かける症例写真と、自分の治療結果を直接比較することには注意が必要です。症例写真は、条件が整った症例や変化が分かりやすいケースが掲載されていることが多く、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。
横顔の変化については、「必ずこうなる」という考え方ではなく、
・変わる可能性がある部分
・変わりにくい部分
・治療の目的として優先すべき点
を整理したうえで治療に臨むことが、納得度の高い選択につながります。
横顔を理由に矯正を考えるときの相談の進め方

「横顔をきれいにしたい」「口元の印象を変えたい」という理由で矯正相談を受けることは、決して珍しいことではありません。
相談時には、
・横顔のどの部分が気になっているのか
・正面と横顔のどちらをより重視したいのか
・見た目と噛み合わせのどちらを優先したいのか
を具体的に伝えることが大切です。
また、「どのくらい変わるのか」だけでなく、「どこは変わりにくいのか」「他の選択肢はあるのか」まで確認しておくことで、治療後の納得度が高まりやすくなります。
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よくある質問(Q&A)
- 横顔だけが気になっていても矯正相談をして大丈夫ですか?
A. はい、問題ありません。矯正相談では、見た目の悩みからご相談される方も多くいらっしゃいます。横顔の印象が歯並び由来なのか、骨格由来なのかを整理すること自体が相談の目的になります。 - 横顔が変わらなかった場合、矯正は失敗になりますか?
A. いいえ、必ずしもそうではありません。矯正治療の主目的は歯並びや噛み合わせの改善です。横顔の変化は副次的な要素であり、変化が小さいからといって治療が失敗というわけではありません。 - 治療途中で横顔の印象が変わることはありますか?
A. 前歯の位置が動き始める中盤以降に、口元の印象が変わったと感じる方はいます。ただし変化の感じ方には個人差があります。 - マウスピース矯正とワイヤー矯正で横顔への影響は違いますか?
A. 歯の動かし方や治療設計によって差が出る場合があります。どちらが適しているかは、歯並び・噛み合わせ・骨格を含めた診断が必要です。 - Eラインを整えることだけを目的に矯正できますか?
A. Eラインのみを目的とした治療は推奨されません。噛み合わせや歯の安定性を考慮したうえで、結果的に横顔の印象が変わる可能性がある、という考え方が基本になります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)についての重要なご案内
マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)において承認を受けていない医療機器です。
本装置は、米国アライン・テクノロジー社の製品であり、インビザライン・ジャパン社を通じて、歯科医師の判断のもと正規ルートで入手しています。
まとめ|横顔の変化は「理解と診断」から始まります
マウスピース矯正によって横顔や口元の印象が変わる可能性はありますが、その変化の大きさや現れ方には個人差があります。重要なのは、「変わるかどうか」だけに注目するのではなく、「なぜそう見えているのか」「どこまでが現実的な変化なのか」を理解することです。
横顔の印象が気になる方は、まずは初回相談で悩みを整理し、必要に応じて精密検査を受けたうえで、自分に合った治療の考え方を確認してみてください。
著者情報
ニッコリ矯正歯科クリニック 院長 小林 弘史

略歴
2002年03月 駿台甲府高等学校 卒業
2008年03月 東京歯科大学歯学部 卒業
2008年04月 同大学 臨床研修歯科医師
2009年03月 同大学 臨床研修歯科医師 修了
2009年04月 同大学 歯科矯正学講座 Post Graduate Course 入局
2010年04月 同大学 大学院 入学(歯科矯正学講座)
2012年03月 同大学 歯科矯正学講座 Post Graduate Course 修了
2014年03月 同大学 大学院 卒業(歯科矯正学講座)
赤坂まつの矯正歯科にて舌側矯正を研鑽
東京歯科大学 矯正歯科学講座 勤務
2016年04月 同大学 矯正歯科学講座 臨床講師
2018年05月 ニッコリ矯正歯科クリニック 開院