
「矯正治療が終わったのに、歯並びが以前の状態に戻ってきてしまった」——そのようなお悩みをお持ちの方、あるいはこれから開咬の矯正治療を始めようとしていて後戻りへの不安を感じている方は少なくありません。
開咬(かいこう)は前歯が上下で咬み合わない状態を指しますが、後戻りしやすい歯並びとして知られています。その大きな理由のひとつが「舌の癖(舌癖)」です。矯正装置で歯を動かしても、舌が歯を押し続ける習癖が残ったままであれば、歯は再びもとの位置へ向かって動こうとする可能性があります。
この記事では、開咬の後戻りが起きやすいメカニズムから、保定期間中に舌癖へアプローチすることの大切さ、そして口腔筋機能療法(MFT)を組み合わせた取り組みについて、できるだけわかりやすくご説明します。
- 開咬の矯正後に後戻りが起きやすい理由とそのメカニズム
- 舌の癖(舌癖)が後戻りに関係する仕組み
- 保定期間中にMFTを継続することの意味と取り組み方
📋 この記事の目次
- ▸ 「矯正したのに戻った」——開咬の後戻りへの不安は多くの方が感じています
- ◦ 開咬とはどのような状態か
- ◦ 「後戻り」という言葉への正しい理解
- ▸ なぜ開咬は後戻りが生じやすいのか——そのメカニズムを知る
- ▸ 後戻りを防ぐカギ——保定期間中の「口腔筋機能療法(MFT)」とは
- ◦ MFTとはどのようなトレーニングか
- ◦ 矯正治療と並行してMFTを行う意義
- ◦ 保定期間中もMFTを継続することの重要性
- ▸ 開咬の矯正治療における選択肢と、それぞれの特徴
- ▸ ニッコリ矯正歯科クリニックの取り組み——開咬の後戻りに向き合う姿勢
- ▸ よくある誤解とQ&A——開咬の後戻り・保定・舌癖について
- ◦ この記事のまとめ
- ◦ 開咬・後戻り・舌の癖についてご相談は、韮崎市のニッコリ矯正歯科クリニックへ
※本記事では一般的な矯正治療の内容も含まれており、当院で実施していない治療が含まれる場合があります。詳細については診察時にご確認ください。
「矯正したのに戻った」——開咬の後戻りへの不安は多くの方が感じています
矯正治療を終えて、きれいに並んだ歯並びを手にしたはずなのに、数か月から数年後に「なんとなく以前に似てきた気がする」と感じる方がいます。特に開咬は、矯正後の変化が比較的生じやすい歯並びのひとつとされています。

開咬とはどのような状態か
開咬とは、奥歯を咬み合わせたときに前歯の上下が触れ合わない(咬み合わない)状態を指します。食べ物を前歯で咬み切りにくい、発音がしにくいなどの機能的な問題が生じることがあるほか、見た目の悩みにつながるケースもあります。
原因としては、幼少期の指しゃぶりや口呼吸、そして舌を前歯の裏側に押し当てる「舌突出癖」などが関与しているとされています。こうした口腔習癖は、歯並びに継続的な力を加えつづけるため、矯正治療の効果に影響を与える可能性があります。
「後戻り」という言葉への正しい理解
矯正治療において「後戻り」とは、矯正で動かした歯が治療前の位置へ向かって移動しようとする現象です。これはある程度の範囲では避けがたい生体反応でもあり、だからこそ矯正治療後の保定(リテーナー使用)が重要とされています。
ただし、開咬の場合は単純な「保定装置を使えばOK」という話で終わらないケースがあります。後戻りの背景に舌癖などの機能的な問題が残っていると、保定装置を使っていても少しずつ影響が及ぶ可能性があるとされているからです。
⚠ ご注意ください
後戻りの程度や経過には個人差があります。「矯正後に変化を感じる」と思ったときは、自己判断せずに担当の歯科医師へご相談されることをおすすめします。
なぜ開咬は後戻りが生じやすいのか——そのメカニズムを知る
開咬の後戻りを理解するうえで、「歯に加わり続ける力」という視点がとても重要です。歯は骨の中に埋まっていますが、持続的な力が加わることによって少しずつ動く性質を持っています。矯正治療はこの性質を利用した治療ですが、裏を返せば、口腔内の筋肉や癖が生む力も、歯を動かし得るということになります。
Point 01 舌の癖
舌突出癖が歯並びに与える継続的な影響
舌突出癖とは、飲み込む際や安静時に舌先が前歯の裏側または上下の前歯の間に押し当てられる習癖です。舌は口腔内で大きな面積と筋力を持つ器官であり、この癖が継続することで前歯を前方・下方へ押す力が加わり続けると考えられています。開咬との関連性は広く知られており、矯正治療後もこの習癖が残ったままであれば、歯が再び開く方向へ動こうとする可能性があります。

Point 02 口呼吸・低位舌
舌の「定位置」が歯並びを左右する
舌は本来、安静時に口蓋(上あご)に軽く触れた位置(スポットポジション)に置かれているのが理想的とされています。しかし口呼吸の習慣がある場合、舌が低い位置(低位舌)に置かれやすくなるとされています。低位舌の状態が続くと、上あごへの舌からのサポートが減り、歯列の形態に影響が及ぶ可能性があります。こうした口腔周囲の筋機能の問題は、開咬の発生や再発に関与するとされています。
Point 03 保定装置だけでは補いきれないケース
リテーナーは「動かさないための装置」であることを知る
保定装置(リテーナー)は、矯正後の歯を所定の位置に固定し、骨と歯根周囲組織が安定するまでの期間をサポートするための装置です。ただし、舌癖などの機能的習癖そのものを改善する装置ではありません。そのため、開咬の後戻りを防ぐ観点からは、保定装置の使用と並行して舌や口腔周囲筋へのアプローチを行うことが大切とされています。
後戻りを防ぐカギ——保定期間中の「口腔筋機能療法(MFT)」とは
MFTとはどのようなトレーニングか
口腔筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)とは、舌や唇、頬などの口腔周囲の筋肉のバランスや機能を改善することを目的としたトレーニングです。医療機関(主に矯正歯科・小児歯科)で専門スタッフの指導のもと行われることが多く、自宅でのホームトレーニングと組み合わせて継続します。
具体的な内容は患者さんの状態によって異なりますが、舌の位置の習慣化(スポットポジション訓練)、飲み込み方の改善(嚥下訓練)、唇や頬の筋力向上などが含まれることがあります。
矯正治療と並行してMFTを行う意義
MFTは矯正治療中から並行して行われることがあります。歯を正しい位置に動かしながら、その位置を保てる口腔環境をつくるという考え方です。特に成長期の小児では、骨格や筋機能が発達段階にあるため、習癖の改善が将来の歯並びに与える影響は大きいとされています。
成人の場合も、長年かけて形成された習癖の修正には時間と継続的な取り組みが必要とされますが、自覚的にトレーニングを続けることで筋機能の改善が期待できると考えられています。ただし、改善の程度には個人差があります。
保定期間中もMFTを継続することの重要性
矯正治療が終了し保定期間に入った後も、MFTを継続することが後戻りのリスクを軽減するうえで重要とされています。保定装置で歯の位置を保ちながら、口腔周囲筋の機能を整え、舌癖を改善していくことで、治療後の歯並びの安定に寄与する可能性があると考えられています。
「矯正が終わったからトレーニングも終わり」ではなく、保定期間中も継続してケアを行うという意識を持つことが、長期的な安定につながる可能性があります。
診療時間・アクセスはホームページをご確認ください

開咬の矯正治療における選択肢と、それぞれの特徴
開咬の矯正治療には複数の選択肢があります。いずれも自由診療(保険外診療)での対応が基本となりますが、骨格的な問題が大きい場合などには保険適用となるケースもあります(顎変形症など)。担当医の診断のもと、適切な治療方針が選択されます。
以下は代表的な矯正装置の一般的な特徴です。個々の状態によって適応や期間は異なります。
✅ マウスピース型矯正装置(インビザラインなど)の特徴
- 取り外しが可能なため、口腔清掃がしやすいとされる
- 透明で目立ちにくい
- 装着中に違和感が生じることがある(個人差あり)
- 装着時間の管理が治療の進行に影響する
- 症例によっては適応の可否を慎重に判断する必要がある
📋 ワイヤー矯正(表側・裏側)の特徴
- 矯正力のコントロールの幅が広いとされる
- 難症例や骨格的な問題を含む症例でも対応が検討されることがある
- 装置が固定式であるため装着中の管理は患者側の負担が少ない
- 裏側矯正は外から見えにくい反面、慣れるまでに時間がかかるケースがある
- 通院頻度や調整の必要がある
開咬はその原因や程度によって適切な治療法が異なります。骨格的な要因が強い重度の開咬では、矯正治療単独ではなく、外科的な治療との組み合わせ(外科的矯正治療)が検討されることがあります。なお、外科的矯正治療は連携機関との対応が必要となる場合があります。詳しくは診察時にご相談ください。
⚠ 治療に関するリスク・注意事項
矯正治療全般に伴う可能性のある一般的なリスクとして、歯の移動に伴う痛みや違和感、装置装着による口腔内粘膜への刺激、歯根吸収、歯肉退縮、治療中の虫歯リスクの上昇などが挙げられることがあります。また、保定期間中にリテーナーを適切に使用しない場合、後戻りが生じる可能性があります。治療に際しては、担当医から十分な説明を受けたうえでご判断いただくことが重要です。費用・治療期間・通院頻度については当院の治療費ページおよび診察時にご確認ください。こちらからご覧いただけます。
開咬の矯正治療はどれくらいかかる?期間の目安と長くなるケース
ニッコリ矯正歯科クリニックの取り組み——開咬の後戻りに向き合う姿勢
山梨県韮崎市にあるニッコリ矯正歯科クリニックは、矯正専門のクリニックとして、開咬を含むさまざまな歯並びの問題に向き合っています。単に歯を動かすだけでなく、後戻りを防ぐための口腔環境づくりを大切にしています。
- 日本矯正歯科学会認定医による専門的な診断
院長・小林弘史は東京歯科大学大学院で矯正歯科学を修め、日本矯正歯科学会認定医として難症例を含む矯正治療に取り組んでいます。開咬の原因を多角的に評価し、長期的な安定を見据えた治療計画の立案を心がけています。 - MFT(口腔筋機能療法)への対応
矯正治療と並行して、舌癖や口腔習癖に対するアプローチを行うことで、治療後の安定をサポートする取り組みを行っています。保定期間中もトレーニングの継続をご提案しています。 - 矯正エキスパートの歯科衛生士によるサポート
担当歯科衛生士も矯正専門のトレーニングを受けており、MFTの指導やケアのアドバイスにも対応しています。治療の進行だけでなく、日常生活でのセルフケアまで丁寧にサポートします。 - 自立支援医療機関・小児慢性特定疾病医療機関として認定
顎変形症や特定の疾患に関連した矯正治療に保険適用で対応できる医療機関として認定されています。難症例や複合的な問題を抱える患者さんにも、大学病院レベルの対応力で向き合います。 - 丁寧なカウンセリングと長期的な関係性
矯正治療は2〜3年にわたる長い期間のお付き合いです。患者さんとの距離を縮め、治療の山を一緒に乗り越えていくことを大切にしています。専門用語を使わずわかりやすい説明を心がけています。
私自身も30歳を前に矯正治療を経験しました。治療を受ける側の気持ち——不安や面倒くささ、でも「きれいになりたい」という気持ち——がわかるからこそ、患者さんに寄り添えると思っています。
開咬の治療では、歯を動かすことと並んで、舌や唇・頬といった口腔周囲の筋肉のバランスを整えることがとても大切だと考えています。保定期間中も「治療は続いている」という意識を持ちながら、一緒に取り組んでいけたらと思っています。
矯正治療は人生で何度も行うものではありません。「一期一笑」の理念のもと、患者さんの状態に応じた対応を行っています。
ニッコリ矯正歯科クリニック 院長 小林 弘史

よくある誤解とQ&A——開咬の後戻り・保定・舌癖について
矯正が終わったらリテーナーはいつまで使えばいいですか?
保定期間と保定装置の使用期間は、症例や治療内容、患者さんの口腔状態によって異なります。一般的には数年単位での使用が推奨されることが多く、特に開咬のように後戻りが生じやすいとされる歯並びでは、長期的な保定管理が重要とされています。具体的な期間については担当医にご確認ください。個人差があります。
「よくある誤解」として——「保定装置をしていれば、舌癖は関係ない」は本当ですか?
これは誤解となる可能性があります。保定装置(リテーナー)は歯の位置を保持するための装置ですが、舌が継続的に前歯を押す力そのものを直接取り除く仕組みではありません。舌突出癖などの口腔習癖が残ったままの場合、長期的に歯並びへの影響が及ぶ可能性があると考えられています。そのため、保定と並行したMFT(口腔筋機能療法)の継続が重要とされています。状態によって異なりますので、担当医にご相談ください。
子どもの開咬治療でMFTは必要ですか?
小児の開咬では、舌癖や口呼吸、指しゃぶりなどの口腔習癖が発症・悪化に関与しているケースがあるとされています。成長期は骨格や筋機能が発達段階にあるため、習癖の改善に取り組むことが歯並びの発育に影響する可能性があると考えられています。矯正治療(I期治療)と並行してMFTを行うことを検討する場合もあります。お子さんの状態を詳しく確認したうえで、担当医と一緒に方針をご相談いただくことが重要です。
この記事のまとめ
- 開咬は矯正後に変化が生じやすい歯並びのひとつとされており、その背景には舌突出癖などの口腔習癖が関与していることがある
- 保定装置(リテーナー)は歯の位置を保持するが、舌癖そのものを改善する装置ではないため、MFT(口腔筋機能療法)との組み合わせが重要とされている
- 保定期間中もMFTを継続することで、口腔周囲筋のバランスを整え、治療後の安定につながる可能性があると考えられています(個人差があります)
- 改善の程度・治療期間・通院頻度には個人差があり、詳細は診察時に確認することが重要
- 気になる症状や後戻りの兆候を感じた場合は、早めに歯科医院でご相談されることが検討されます
開咬・後戻り・舌の癖についてご相談は、韮崎市のニッコリ矯正歯科クリニックへ
山梨県韮崎市(韮崎駅徒歩約2分・韮崎IC車5分・200台以上の無料駐車場完備)。矯正専門クリニックとして、開咬をはじめさまざまな歯並びのご相談に対応しています。初診相談についてはホームページよりご確認ください。
診療時間・アクセスはホームページをご確認ください
金曜休診。月曜・日曜は月2回診療。詳しい診療時間はホームページをご確認ください。
開咬・後戻りのご相談は
ニッコリ矯正歯科クリニックへ
韮崎市にある当院では、開咬の矯正後の保定・後戻りに関するご相談を承っています。
現在の歯並びの状態を確認しながら、適切な対応について一緒に考えます。
お電話でのお問い合わせ:0551-22-0550
監修
小林 弘史(こばやし ひろし)

ニッコリ矯正歯科クリニック 院長|歯学博士(矯正歯科)
2008年東京歯科大学歯学部卒業後、同大学大学院歯科矯正学講座に進み、2014年に歯学博士取得。東京歯科大学矯正歯科学講座での勤務・臨床講師を経て、赤坂まつの矯正歯科にて舌側矯正を研鑽。2018年、山梨県韮崎市にニッコリ矯正歯科クリニックを開院。2026年より、山梨大学医学部付属病院歯科口腔外科の非常勤講師も務めています。
資格・所属学会:日本矯正歯科学会認定医 / 日本矯正歯科学会 / 日本臨床矯正歯科医会 / 日本顎変形症学会 / 日本口蓋裂学会 / 日本口腔筋機能療法学会 / 日本睡眠歯科学会 / 東京矯正歯科学会 / 東京歯科大学学会
本記事は歯科医師の監修のもと、医療広告ガイドラインに配慮して作成されています。記事内の情報は一般的な内容を含むものであり、個々の症状・状態への診断・治療を目的とするものではありません。